わたしの積読(2)

今日の積読

高山裕二『憲法からよむ政治思想史』有斐閣、2022年。

 日本国憲法には、さまざまな理念が表現されています。たとえば、基本的人権、国民主権、平和主義といった理念です。

 こうした理念は、多くは、西洋における政治思想史の中で作り上げられてきたものです。本書は、日本国憲法の条文や理念を出発点として、西洋の政治思想史をたどるテキストです。

 目次は以下の通りです。

 プロローグ
第1回 クルーソーと「近代」の物語──政治思想史の課題と方法
 第Ⅰ部 内戦の時代(16・17世紀)
第2回 政教分離──アウグスティヌスとマキアヴェリ
第3回 思想・良心の自由/信教の自由──宗教戦争とモンテーニュ
第4回 主権/代表──ホッブズと近代国家の作り方
第5回 基本的人権/議会──ジョン・ロックと近代立憲主義の成立
 第Ⅱ部 イングランドの世紀(18世紀)
第6回 権力分立──政治体制論の伝統とモンテスキュー
第7回 結社/二院制──アメリカ独立革命とフェデラリスト
第8回 経済的自由/財産権──スコットランド啓蒙思想とスミス
 第Ⅲ部 フランス革命の時代(18世紀)
第9回 生存権/憲法改正──ジャン=ジャック・ルソーと人民主権
第10回 政党/代議制──エドマンド・バークとフランス革命
第11回 自衛権/公務員──カントとリアルな平和論
 第Ⅳ部 〈民主化〉の時代(19世紀)
第12回 地方自治/陪審制──トクヴィルと政治参加
第13回 平等/参政権──ミルとフェミニズムの誕生
第14回 天皇制/議院内閣制──バジョットの英国国制論と「行政権」
 エピローグ
第15回 労働社会の「人間らしさ」?──ヨーロッパの世紀末と政治思想史の役割

 目次からして、非常に興味深い論点が多くあります。政教分離からマキアヴェリを、思想・良心の自由からモンテーニュを、経済的自由からスコットランド啓蒙思想を読みなおす内容です。高校公民科「公共」では、日本国憲法の内容や意味と同様に、政治思想史を扱います。また、理念や概念といった抽象度が高い内容を「活用」することも求められていることから、授業づくりの参考になりそうな一冊と言えそうです。

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