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12月, 2021の投稿を表示しています

ポケモンで地域おこし 福島で「ラッキー公園」オープン

福島県浪江町にポケモンキャラ「ラッキー」をモチーフにした公園がオープンしたと河北新報が報じています。 ポケモンが被災地に幸せ運ぶ 福島・浪江「ラッキー公園」オープン 県とポケモン株式会社が、震災からの復興や観光振興に向けた連携協定を結んでおり、その一環です。ラッキーは、ポケモンXの図鑑説明によると「幸せを運ぶといわれている。傷ついた 人にタマゴを分けてあげる優しいポケモン」という設定で、地域に幸せを運ぶアイコンとしてピッタリですね。 そもそもポケモンは、近年「ローカルActs」と称して、地域それぞれ「推しポケモン」を設定し、地域の魅力を発信する試みを進めています。福島県の「推し」はラッキーで、岩手県には「岩」のイシツブテ、鳥取県には砂地を好むサンドが推しポケモンに就任し、さまざまなグッズを発売するなどしています。 キャラクターをつかった地域の魅力発信では、美少女アニメキャラクターを使って温泉PRを図った「温泉むすめ」が性差別・性搾取的だと批判を集めたことが記憶に新しいです。キャラクタービジネスは「キャッチ―さ」とともに「イメージ」も重要です。キャラクターもコラボ先も得するようなwin-winなコラボをこれからも期待したいところです。

(寸評)明治図書『教育科学 社会科教育』2022年1月号

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  明治図書『教育科学 社会科教育』2022年1月号 は、地理教育特集でした。 巻頭提言の井田仁康提言は、地理教育の課題を小中高の連携に位置づけ整理したものです。整理された地理教育の課題は、以下です。 (1)すべての学校種において教科書として用いられる地図帳をより活用し、地理的・地図の技能を身につける必要があること (2)小中高を貫く課題として、防災を身近なものとして捉える必要があること (3)特に中高の指導要領において強調された「未来志向の地理」に向けて、まずはその将来像の構築を可能とする知識・技能や見方・考え方が重要であること なお高校籍の私は、小中高で同じテーマを扱うということで「学習の重複」にならないよう学校種を超えた研修や交流の必要性を指摘した箇所に、膝を打ちました。 また大野新論文「地理総合をはじめるための準備をどう進めるか」は、高校の新しい教科書の構造に従って執筆されており、「地理総合」に向けた構想をつくるヒントとなるもので参考になります。 キーワード解説では「持続可能な社会づくり」「GISの活用」「国際理解・国際協力」「防災教育」の4つについてコンパクトな解説が付され、勉強になります。 実践紹介としては、小学校で3本、中学校で6本、高校で4本の授業モデルが紹介されています。学校種の異なる授業モデルに触れることができるのも、『社会科教育』誌の魅力のひとつです。 なお、大谷誠一論文に「小・中・高の地理学習において、地誌学習は中学校のみの学習内容だ」(18頁)との記述がありますが、現行「地理B」にも、新カリ「地理探究」にも「現代世界の地誌的考察」という学習項目は明確に設定されており、記述に疑問が残ります。「地理総合」においては、GIS、地球的課題、防災といった論点を強調するために地誌学習が軽視されているきらいはあるものの、高校地理は「地理総合」だけではありません。 本特集は、「地理必修化」に焦点化したために高校の「地理探究」がやや閑却されているきらいがある(授業モデルは1本掲載)ものの、現場教師にとって有益な特集となっているものと思います。特に、私を含めて、地理を専門としない教員にとっては重要な羅針盤となる特集と思います。

選挙での投票先を問うアンケートに「慎重な対応が必要」?

北海道の帯広柏葉高校の新聞局のアンケートについて、教育委員会より「丁寧な対応が必要であった」とのコメントがあったことが、北海道新聞で報じられています。 新聞局の衆院選校内アンケートに学校が再考要請 帯広柏葉高 投票先巡る設問 道教委見解に追従 顧問「おかしい」 帯広柏葉高新聞局の衆院選アンケート 道教委「丁寧な対応が必要」 帯広柏葉高校の新聞局は、全国的にもその実績で知られており、高校の学校新聞の全国コンクールである「全国高校新聞年間紙面審査賞」でも入賞の常連です。 今回の問題の発端は、 10月31日投開票の衆院選に関する校内アンケートにおいて小選挙区や比例代表の投票先を問うたことにあるようです。「 アンケート用紙を事前に見た学校側が道教委に問い合わせ、見解を新聞局顧問の教諭に伝えた 」という経緯で、その見解とは、「政治的中立性」の確保のため、設問を見直すべきとのものです。そうした学校の動きに対応する形で、議会内で教育委員会による冒頭の発言があったものです。 本件について、気になるのは2点です。 (1)学校の新聞局が投票先を問うことは「政治的中立性」に抵触する問題か (2)学校側が教育委員会に問い合わせた動きは適切か (1)については、無関係と考えます。投票を終えた選挙の結果について、その投票先を含めて調査、報道のためにアンケート等で問うことは問題ないことであるはずです。 したがって、(2)については、学校側の判断と対応は過剰な「忖度」に映ります。無論、教育機関において「政治的中立性」を保証することは重要ではあるものの、その一般論に拘泥し、無関係な問題まで先手を打って生徒の主体性を奪うことがあってはなりません。政治に関わる話題も積極的に取り上げようとする、柏葉高校新聞局の主体的な活動を応援したいところです。

中日・福敬登投手がネット上の中傷に被害届提出、投稿者特定へ

中日ドラゴンズの福敬登投手がインターネット上の中傷に対し、法的手段に訴えることを決めたとの報道がありました。 「殺すぞ、死ね、が当たり前になっている」中日・福敬登が“入団時”から受け続けた中傷《被害届受理、投稿者の特定へ》 2015年のドラフト会議で4位指名を受けて中日ドラゴンズに入団した左腕の福投手は、同球団の伝説的投手である山本昌投手の背番号「34」を継承したことで話題になりました。 ルーキーイヤーに1軍に帯同し、翌年には育成契約に降格するという経験を経て、昨シーズンの2020年は53試合登板、25ホールドなどの成績を残し、最優秀中継ぎ投手としてタイトルを受賞しました。 中継ぎ投手という立場上、1シーンや1球で試合を左右してしまうこともあり、ミスが目立ってしまうポジションにあります。福投手は試合のたびに多くの誹謗中傷のメッセージを受けていたようで、中には「殺すぞ」や「死ね」といった殺害予告とも取れるものも少なくなかったようです。 インターネット上の雑言などは、無視すればいいという意見もあります。また、福投手自身も記事内で語るように「批判されるのは当たり前だ」というように、有名人なら言われても仕方ないという発想もあります。 しかし一方で、殺害予告は行き過ぎており、そうした憎悪の投稿に対するハードルが低すぎるのではないか、と思われるのも事実です。福投手はこの状況を変えたいという問題意識から、法的手段に出るという勇気ある行動を起こし、抑止力につながればよいと願っているのです。 昨年5月には、プロレスラーの木村花氏が、テレビ番組の演出に端を発するインターネットでの中傷を引き金として自死を選んだことが、大きな話題となりました。インターネットの使い方や投稿の内容については、「個人の良心」や「利用マナー」というレベルだけではなく、ある種の法的な規制なども必要になってくるのかもしれません。

自己紹介

 こんにちは、奈辺真理と申します。 ふだんは公立高校で地理歴史・公民を講じています。 ここでは、時事問題に係る私見、授業内容に係るメモ、ちょっとしたエッセイや書評などを公開してまいりたいと思います。 よろしくお願いいたします。